「hear」と「listen」はどちらも日本語では「聞く」と訳されますが、英語では意味の仕組みがまったく異なります。特に、hear は自然に耳に入る音を表し、listen は意識して耳を向ける行為を表します。この違いを理解しておくと、会話・説明・ビジネスメールなどで不自然な英語を避けられるようになります。
結論
結論から言うと、
- hear:意識しなくても“聞こえる”。受動的に耳に入る音を表す。
- listen:意識して“耳を傾ける”。能動的に聞こうとする行為を表す。
日本語ではどちらも「聞く」ですが、英語では「聞こえる(hear)」と「聞こうとする(listen)」という大きな違いがあります。
1. hear と listen の違い
まずは両者のニュアンスを例文で比較してみます。
鳥の声が聞こえます。
毎晩音楽を聴きます。
①は自分の意思に関係なく自然に聞こえている状態。
②は「聴こうとしている」能動的な行為を表します。
ネイティブの感覚を整理すると、
- hear:受動的。環境の音が耳に入る。
- listen:能動的。注意を向けて聞く。
この意識の有無が、両者を使い分けるうえで最も重要なポイントです。
2. hear の意味と使い方
hear は「聞こえる」「耳に入る」という意味で、自分が意図しなくても音が自然に届いてくる状態を表します。
加えて、「うわさを聞いた」「〜と耳にした」という情報の受け取りにも使われます。
例文:
外で誰かが話しているのが聞こえます。
ニュースを聞きましたか?
彼が新しい仕事に就いたと聞きました。
hear の特徴:
- 意識せずに聞こえる「音」を表す
- 「うわさ・情報を耳にした」も表現できる
- 一度だけ聞こえた場合にも使える(listen より短い行為)
音が自然に耳に入ってくる場面では hear を使うのが自然です。
3. listen の意味と使い方
listen は「注意を向けて聞く」「耳を傾ける」という意味で、能動的に聞こうとする行為を表します。
注意すべき点は、listen は単体で使わず、ほとんどの場合 listen to 〜 の形で目的語を取ることです。
例文:
よく聞いてください。
よくポッドキャストを聴きます。
彼女は何も言わずに彼の話に耳を傾けました。
listen の特徴:
- 意識して耳を向ける「行為」
- listen to の形で使われることが多い
- 音楽・会話・指示など、集中して聞く対象に使う
聞く姿勢があるかどうかが、hear との明確な違いです。
4. 似た英語表現
4-1. overhear(偶然聞く)
I overheard them talking about the plan.
彼らがその計画について話しているのを偶然聞きました。
意図せず“盗み聞きのように”耳に入ったときに使います。
4-2. listen for(聞き取ろうと注意する)
She was listening for her name.
彼女は自分の名前が呼ばれるのを注意して聞いていました。
特定の音を“探すように聞く”ときに使う表現です。
4-3. pay attention to(注意を向ける)
Please pay attention to what he says.
彼の言うことに注意してください。
listen より広範囲で使え、視覚的な注意にも使える便利な表現です。
5. まとめ
| 表現 | 意味・ニュアンス | 特徴 |
|---|---|---|
| hear | 自然に聞こえる音/耳に入る情報 | 受動的・偶発的な「聞こえる」 |
| listen | 意識して耳を向ける行為 | 能動的・集中して「聞く」 |
hear は“聞こえる”、listen は“耳を傾ける”。
この違いを理解すると、日常会話やビジネスシーンでも誤解のない自然な英語が使えるようになります。
