助動詞 could の使い方|can との違いから見える英語の距離感

could は、can の過去形として最初に習う助動詞です。
そのため多くの学習者が、

「could = can の過去」

という理解のまま使い続けています。

しかし実際の英語では、could は単なる過去形ではありません。
ネイティブは could を使って、

  • 現実との距離を取る
  • 断定を弱める
  • 丁寧さや控えめさを表す
  • 「実現しなかった可能性」を示す

といった、非常に繊細なニュアンスを表現しています。

この記事では、

  • could の核となる感覚
  • can との本質的な違い
  • 過去・現在・仮定で使われる could
  • 丁寧表現としての could

を、「距離感」という視点から丁寧に解説します。


結論:could の本質は「一歩引いた可能性」

最初に結論をまとめます。

could は「できる」ではなく、「できたかもしれない/できる余地がある」

という感覚を持つ助動詞です。

can が「制限がない」だとすれば、
could は「制限があるかもしれないが、可能性は残っている」という立ち位置です。


1. could の最も基本的な使い方|過去の能力

まず、教科書的に最初に出てくるのが、

過去の能力を表す could

です。

I could swim when I was five.
私は5歳のとき泳げました。

これは、

  • 過去のある時点では
  • その能力があった

という事実を述べています。

ただしここでも、

「今はどうか」は含まれていない

点が重要です。


2. could は「実際にやったか」を保証しない

can と違い、could は

能力や可能性があったこと

を示すだけで、

実際にそれを行ったかどうか

までは保証しません。

I could finish the work yesterday.
昨日、その仕事を終えることはできた(可能だった)。

これは、

  • 終えた可能性もある
  • 終えなかった可能性もある

という、曖昧さを含みます。

「実際に終えた」と言いたい場合は、

was able to

が好まれます。


3. could が持つ「距離感」

could の核心は、

現実から一歩距離を取る

という感覚です。

この距離感は、

  • 時間的な距離(過去)
  • 心理的な距離(控えめ)
  • 現実性の距離(仮定)

として現れます。


4. 丁寧な依頼で使われる could

could は、

丁寧な依頼

で非常によく使われます。

Could you help me?
手伝っていただけますか?

これは、

「あなたにその能力があるか」

を聞いているわけではありません。

相手に選択の余地を残す

ための表現です。

can よりも柔らかく聞こえるのは、

「断っても構わない」という余白

を含んでいるからです。


5. can と could の依頼表現の違い

Can you open the window?
Could you open the window?
  • can:今できるかどうか
  • could:可能ならお願いしたい

could のほうが、

相手への配慮が強い

印象になります。


6. 仮定の could|現実とは少し違う世界

could は、

仮定の話

でも使われます。

I could travel more if I had time.
時間があれば、もっと旅行できるのに。

これは、

  • 今は時間がない
  • だから実現していない

という現実を前提にしています。

could は、

「今とは違う条件なら」

という距離感を自然に表します。


7. could は「控えめな提案」にも使われる

could は、

提案をやわらかくする

ときにも使われます。

We could try a different approach.
別のやり方を試してもいいかもしれない。

これは、

  • 強い主張ではない
  • 選択肢の一つとして出している

というニュアンスです。


8. なぜ could は大人っぽく聞こえるのか

could が can よりも大人っぽく、丁寧に聞こえるのは、

断定を避けている

からです。

英語では、

断定を弱める=配慮がある

と受け取られやすく、

could はその役割を自然に果たします。


9. まとめ|could は「可能性と距離」を表す

用法 根底にある感覚
過去の能力 その時点では可能だった
丁寧な依頼 相手に選択の余地を残す
仮定 現実とは距離がある可能性
提案 控えめな選択肢

could は、

can の過去形

では終わりません。

「一歩引いた可能性」

として捉えることで、

英語の表現が一段、自然で洗練されたものになります。