「世界で最も覚えるのが難しい言語は何か?」
この問いは、語学学習に少しでも興味を持ったことがある人なら、一度は考えたことがあるはずです。
世界には7,000以上の言語が存在すると言われていますが、その中でも特に
中国語・日本語・アラビア語は、
多くの調査や学習者の体験談において「習得が難しい言語」として頻繁に名前が挙がります。
しかし、それは単に「文字が難しい」「文法が複雑だから」という単純な理由ではありません。
これらの言語は、学習者の脳の使い方そのものを変えるような、
構造的・文化的な難しさを持っています。
この記事では、中国語・日本語・アラビア語がなぜ特別に難しいと言われるのかを、
具体例・発音例・学習者視点を交えながら、じっくり掘り下げていきます。
そもそも「言語の難しさ」はどこから生まれるのか
言語の難易度は、才能や努力量だけで決まるものではありません。
実際には、次のような要素が複雑に絡み合っています。
- 文字体系の違い
- 発音・音の区別
- 文法構造
- 語彙の覚えやすさ
- 文化・思考様式
これらの要素が自分の母語とかけ離れているほど、
脳は新しい処理ルールを覚えなければならず、学習コストは一気に跳ね上がります。
中国語・日本語・アラビア語は、この「距離」が極めて大きい言語なのです。
中国語が難しいと言われる理由
中国語(特に普通話)を語るうえで、避けて通れないのが声調です。
中国語では、同じ音でも声の高低や抑揚が変わるだけで、意味がまったく変わります。
mā(妈)=母
má(麻)=麻
mǎ(马)=馬
mà(骂)=罵る
アルファベット言語では、多少発音が違っても文脈で補われることがありますが、
中国語では声調を間違えると別の単語として処理されてしまいます。
さらに、中国語の文字である漢字は、
音を直接表さない表意文字です。
例えば、同じ発音を持つ漢字が無数に存在するため、
「聞いて分かる」「読める」「書ける」を同時に成立させるには、
膨大な反復学習が必要になります。
文法自体は比較的シンプルですが、
発音の正確さと記憶量という点で、
中国語は学習者に非常に高い集中力を要求する言語です。
日本語が難しいと言われる理由
日本語は、世界的にも珍しい多層構造の難しさを持つ言語です。
まず、文字体系だけでも、
ひらがな・カタカナ・漢字という3種類を使い分けます。
わたしはコーヒーを飲みます。
この一文の中に、すでに3種類の文字が混在しています。
学習者は「読む・書く」だけでも相当な時間を要します。
さらに、日本語の難しさを決定づけているのが敬語です。
見る → 見る / 拝見する / ご覧になる
同じ行為でも、相手・立場・場面によって動詞そのものが変わります。
これは単なる文法ではなく、社会的関係を言語で表現する仕組みです。
加えて、日本語は主語を頻繁に省略します。
そのため、文法知識だけでなく、
文脈を読む力が不可欠になります。
正しい文章を作れても、
「不自然」「冷たい」「失礼」と受け取られる可能性がある点が、
日本語を極めて高度な言語にしています。
アラビア語が難しいと言われる理由
アラビア語は、学習者にとってまったく別の思考回路を要求する言語です。
まず、文字は右から左へ書き、
多くの場合、母音が省略されます。
ktb → 「書く」に関する意味(母音は文脈で判断)
つまり、学習者は文字を見ただけで意味を判断するのではなく、
文脈と語根を同時に処理する必要があります。
また、アラビア語は語形変化が非常に多く、
一つの語根から大量の派生語が生まれます。
さらに大きな特徴として、
書き言葉(標準語)と話し言葉(方言)が大きく異なる
という点があります。
ニュースが理解できても、日常会話が通じない。
その逆も起こる。
この二重構造が、学習者を悩ませます。
3言語に共通する「難しさの正体」
中国語・日本語・アラビア語に共通するのは、
言語が文化と深く結びついているという点です。
- 漢字に込められた意味と歴史
- 日本語の空気を読む表現
- アラビア語の宗教・詩的文化
これらは単語帳や文法書だけでは身につきません。
言語を通して、その社会の価値観に触れる必要があります。
それでも「難しい言語」は学ぶ価値がある
これらの言語は確かに難しいですが、
同時に世界の見え方を一変させる力を持っています。
一つの漢字に感情や物語を感じたり、
日本語の微妙な言い回しに人間関係の距離を読み取ったり、
アラビア語の語根構造に思考の美しさを見出したり。
それは、単なる「外国語習得」を超えた体験です。
まとめ
世界で習得が難しいと言われる言語として、
中国語・日本語・アラビア語が挙げられるのは事実です。
しかし、その難しさの正体は、
言語そのものではなく、母語との距離にあります。
距離を理解し、時間をかけて向き合えば、
どんな言語も少しずつ自分のものになっていきます。
難しいからこそ、面白い。
それが、世界の言語を学ぶ最大の魅力です。