「remember」と「remind」は、どちらも「記憶・思い出す」に関係する単語ですが、意味の方向性がまったく異なります。remember は自分が覚えていることを表し、remind は誰か(または何か)が思い出させることを表します。日本語ではどちらも「思い出す」「覚えている」で済んでしまうため混同しがちですが、英語では大きな違いがあります。
結論
結論から言うと、
- remember:自分の記憶・経験を“思い出す/覚えている”。
- remind:他者(人・物・状況)が“思い出させる”。
つまり、remember は主語が思い出す側、
remind は主語が思い出させる側という構造の違いがあります。
1. remember と remind の違い
まずは、両者を比較する例文を見てみます。
あなたの誕生日を覚えています。
あなたの誕生日を思い出させてくれますか?
①は自分が覚えている状態、
②は相手に「知らせてほしい・思い出させてほしい」という依頼です。
ネイティブの感覚を整理すると、
- remember:自分の記憶にアクセスする
- remind:外部から“記憶を引き出される”
この方向性の違いが核心です。
2. remember の意味と使い方
remember は「覚えている」「思い出す」という、自分の記憶を扱う動詞です。
経験・事実・約束・人の顔など、幅広い対象に使えます。
例文:
パーティーで彼女に会ったことを覚えています。
私の名前を覚えていますか?
鍵をどこに置いたか思い出せません。
remember の特徴:
- 主語が「思い出す・覚えている」側
- 事実・経験・感情など幅広く使える
- remember to(〜することを覚えている)と remember doing(〜したことを覚えている)の違いに注意
特に、**remember to do(「これから〜するのを忘れない」)**と
**remember doing(「過去に〜したことを覚えている」)**の違いは重要なポイントです。
3. remind の意味と使い方
remind は「思い出させる」という意味で、主語は“記憶を引き出す役割”を担います。
人だけでなく、物・状況・匂いなども主語になることができます。
構文の基本形は以下の2つ:
- remind 人 of 物:人に物を思い出させる
- remind 人 to 動詞:人に〜するよう思い出させる/注意する
例文:
この写真は子どもの頃を思い出させます。
彼に電話するのを思い出させてください。
彼女の声は妹を思い出させます。
remind の特徴:
- 主語=思い出させる側、目的語=思い出す側
- 物・状況・匂いなど何でも主語になれる
- 「依頼」や「注意喚起」にも使える
「誰が」「誰に」「何を」思い出させるのか、役割の方向に注意することが重要です。
4. 似た英語表現
4-1. recall(記憶を呼び起こす)
I can’t recall his exact words.
彼の正確な言葉を思い出せません。
remember より「努力して思い出そうとする」ニュアンスがあります。
4-2. memorize(暗記する)
I memorized all the vocabulary for the test.
テストの単語を全部暗記しました。
記憶に入れる行為そのものを表し、remember や remind とは目的が異なります。
4-3. remind A that 〜(Aに〜だと知らせる)
Please remind me that we have a meeting tomorrow.
明日会議があることを思い出させてください。
依頼や通知の場面でよく使われる実用的な構文です。
5. まとめ
| 表現 | 意味・ニュアンス | 特徴 |
|---|---|---|
| remember | 自分が「覚えている/思い出す」 | 主語=思い出す側。経験・記憶にアクセスする動詞 |
| remind | 外部の何かが「思い出させる」 | 主語=思い出させる側。人・物・状況すべて主語になれる |
remember は自分の記憶をたどる動詞、remind は外部から記憶を呼び起こす動詞。
この違いを押さえておくと、依頼・説明・日常会話で正確な英文が書けるようになります。
