bring up」と「raise」はどちらも「育てる」「持ち上げる」といった意味がありますが、英語では使い方とニュアンスが明確に異なります。この記事では、2つの動詞の違いを、会話でそのまま使える例文とともに詳しく解説します。


結論

結論から言うと、

  • bring up:子どもや話題を「持ち上げる/持ち出す」=日常的に「育てる・話題に出す」
  • raise:身体的・経済的に「育てる」「増やす」「引き上げる」=より広い意味を持つ動詞

特に「子どもを育てる」ではどちらも使えますが、bring up は家庭でのしつけ・環境に焦点raise は成長そのものや経済的サポートに焦点がある点が大きな違いです。


1. bring up / raise の違い

例文で2つの動詞の違いを確認してみましょう。

She was brought up in a small town.
彼女は小さな町で育ちました。
They raised three children.
彼らは3人の子どもを育てました。
  • bring up:家庭・環境・しつけなどソフト面に焦点
  • raise:成長・健康・経済的支援など物理的・実務的な面に焦点

また、bring up には「話題に出す」という別の意味もありますが、raise にはその意味はありません。


2. bring up の意味と使い方

bring up には2つの主要な意味があります。

### ① 子どもを育てる(しつけ・環境・価値観に焦点)
家庭環境やしつけ、心の成長といった「育て方のスタイル」を表すときに使います。

例文① My parents brought me up to be independent.
両親は私を自立した人間になるように育てました。

### ② 話題を持ち出す(=話題に触れる)
会議・会話などで「〜について触れる/話題に出す」の意味でもよく使われます。

例文② He brought up an important issue.
彼は重要な問題を持ち出しました。

ポイント:

  • しつけや家庭環境のニュアンスが強い「育てる」
  • 「話題に出す」という別の意味がある
  • 会話で非常によく使われる自然な表現

3. raise の意味と使い方

raise は「上げる・育てる・増やす」など、多くの意味を持つより汎用的な動詞です。

### ① 子ども・動物を育てる(身体的・経済的サポートに焦点)
日常生活のサポート、食事、教育など広い意味で「育てる」を表します。

例文① They raised their children in the countryside.
彼らは田舎で子どもたちを育てました。

### ② お金・数値を増やす(昇給、値上げなど)
raise の最も一般的な意味の一つで、「上げる・増やす」を表します。

例文② The company will raise salaries next year.
その会社は来年、給与を上げます。

### ③ 質問・懸念を「提起する」
物理的に上げる意味から派生し、「質問を挙げる」「懸念を提示する」という意味もあります。

例文③ She raised a question about the plan.
彼女はその計画について質問を提起しました。

ポイント:

  • bring up より広い意味を持つ汎用的な動詞
  • 育てる+上げる(数値・金額)+提起する、まで幅広い
  • フォーマルな場面でも使いやすい

4. 似た英語表現

4-1. nurture(大切に育てる・育む)

nurture は、感情・才能・人格などを「大切に育む」ニュアンスを持ちます。教育・心理学の文脈でよく使われます。

例文: Parents should nurture children’s creativity.
親は子どもの創造性を育むべきです。

4-2. foster(促進する・里親として育てる)

foster は「促進する」「発展させる」の意味を持ち、また「里親として子どもを育てる」という特別な意味もあります。

例文: They decided to foster a child.
彼らは里親として子どもを育てることにしました。

4-3. mention(軽く言及する)

mention は「話題に触れる」という意味で、bring up の「話題を出す」に近い使い方です。ただし bring up よりも軽い言及に使われます。

例文: He mentioned your name in the meeting.
会議で彼はあなたの名前に軽く触れました。

5. まとめ

表現 主な意味 ニュアンス
bring up 育てる(環境・しつけ)/話題に出す 家庭的・会話的
raise 育てる(成長・サポート)/増やす/提起する より広い意味を持つ・フォーマル寄り

bring up=家庭環境・しつけ、raise=成長と実務的サポート。
この違いを押さえておくと、育てる・話題に出す・数値を上げるなど、文脈に応じて正しく使い分けられるようになります。