1. はじめに

英語で会話をしていると、「少し不満がある」「気になる点を伝えたい」という場面は避けられません。
ただし、不満をそのまま言うと強く聞こえたり、相手を責めている印象になってしまうことがあります。

ネイティブは、強いクレームになる前段階として、軽い不満(mild complaint)をやわらかく伝える表現を多用します。
これは相手を否定するためではなく、状況を改善するためのコミュニケーションです。

この記事では、ネイティブが日常会話や職場でよく使う「軽い不満を伝える英語フレーズ」を、
感情を抑えた不満/状況への不満/やんわりした指摘/要望につなげる不満
という観点で整理して解説します。
角を立てずに本音を伝えるための言い回しを身につけていきましょう。

2. 軽い不満を伝えるときの基本姿勢

英語で軽い不満を伝えるときは、次の点が重要です。

  • 相手を主語にしない(You〜を避ける)
  • 感情よりも状況に焦点を当てる
  • クッション表現を必ず入れる

「責める」ではなく、「共有する」という意識が大切です。

3. 感情を抑えた軽い不満フレーズ

I’m a bit frustrated.

「少し不満に感じています」という率直ですが穏やかな表現です。

I’m a bit frustrated with how this turned out.
(この結果には少し不満を感じています)

a bit を入れることで、感情の強さを抑えています。

I’m not very happy with ~

「〜にはあまり満足していません」という表現です。

I’m not very happy with the current situation.
(今の状況にはあまり満足していません)

怒りではなく、率直な感想として伝えられます。

I’m a little disappointed.

「少し残念です」という、感情を抑えた不満表現です。

I’m a little disappointed with the outcome.
(結果には少し残念な気持ちです)

相手を責めず、自分の感情に焦点を当てています。

This is a bit annoying.

「少し困ります」「ちょっと面倒です」という意味です。

This is a bit annoying, to be honest.
(正直言うと、これは少し困ります)

to be honest を加えると本音感が出ます。

4. 状況や事実への不満を伝えるフレーズ

It’s a bit inconvenient.

「少し不便です」という定番表現です。

It’s a bit inconvenient for us right now.
(今の私たちには少し不便です)

人ではなく状況を主語にする点がポイントです。

There seems to be a problem with ~

「〜に問題があるようです」という穏やかな指摘です。

There seems to be a problem with the schedule.
(スケジュールに問題があるようです)

断定を避け、事実確認のニュアンスになります。

This isn’t working very well.

「あまりうまくいっていません」という表現です。

This process isn’t working very well.
(このやり方はあまりうまく機能していません)

改善の余地があることを示します。

It’s not ideal.

「理想的とは言えません」という遠回しな不満です。

This solution isn’t ideal for everyone.
(この解決策は全員にとって理想的とは言えません)

強い否定を避けたいときに便利です。

5. やんわり指摘する不満フレーズ

I was expecting something different.

「想定していたものと少し違いました」という表現です。

I was expecting something different, to be honest.
(正直、少し違うものを想定していました)

相手のミスを直接指摘しません。

It might be better if ~

改善提案として不満を伝えます。

It might be better if we reviewed this again.
(もう一度見直したほうがいいかもしれません)

命令にならない点が重要です。

I’m not sure this is the best approach.

「これが最善の方法かどうかは疑問です」という表現です。

I’m not sure this is the best approach for this issue.
(この問題に対して最善の方法かどうかは疑問です)

反対意見をやわらかく伝えられます。

There may be room for improvement.

「改善の余地がありそうです」という言い方です。

There may be room for improvement in this process.
(このプロセスには改善の余地がありそうです)

前向きな不満表現です。

6. 要望・改善につなげる不満フレーズ

Would it be possible to ~ ?

不満をそのまま言わず、要望に変えます。

Would it be possible to move the deadline?
(締め切りを延ばすことは可能でしょうか)

不満+解決策の形になります。

I’d appreciate it if ~

感謝の形で要望を伝えます。

I’d appreciate it if you could look into this.
(これを確認していただけると助かります)

不満を直接言わなくても伝わります。

Could we consider ~ ?

別案を提示する言い方です。

Could we consider another option?
(別の選択肢も検討できますか)

相手を尊重した不満表現です。

It would help if ~

「〜してもらえると助かります」という表現です。

It would help if we had clearer instructions.
(もう少し明確な指示があると助かります)

必要性を伝えつつ角を立てません。

7. カジュアルな軽い不満フレーズ

That’s kind of frustrating.

「ちょっとストレスですね」という口語表現です。

That’s kind of frustrating, honestly.
(正直、ちょっとストレスですね)

kind of で強さを和らげます。

I wish this were easier.

「もっと簡単だといいんですが」という不満です。

I wish this were easier to understand.
(もっと分かりやすいといいんですが)

直接的な否定になりません。

This could be better.

「もう少し良くできそうです」という控えめな不満です。

This could be better with a few changes.
(少し変更すれば、もっと良くなりそうです)

改善前提の表現です。

Not exactly what I had in mind.

「思っていたのとは少し違います」という言い方です。

It’s not exactly what I had in mind.
(私が考えていたものとは少し違います)

率直ですが角は立ちにくい表現です。

8. 軽い不満を伝える際の注意点

軽い不満フレーズを使うときは、次の点に注意しましょう。

  • 感情的な語彙(angry, upset)を避ける
  • you を主語にした非難表現を使わない
  • 改善や次の一手につなげる

不満はゴールではなく、改善への入り口です。

9. まとめ

英語で軽い不満を伝えることは、対立を生む行為ではありません。
ネイティブは、関係を保ちながら状況を良くするために、やわらかい不満表現を使っています。

まずは It’s a bit inconvenient / I’m not very happy with / It might be better if など、
使用頻度が高く角の立たない表現から身につけていきましょう。

軽い不満を上手に伝えられるようになると、英語でのコミュニケーションは一段と現実的でスムーズになります。
言いにくいことほど、表現の選び方が大切です。