1. はじめに

英語で発言するとき、「はっきり言い切るほどではない」「確信がない」「可能性の話をしたい」という場面は非常に多くあります。
にもかかわらず、学習者は Yes / No や断定的な表現を使ってしまい、意図せず強い印象を与えてしまうことがあります。

ネイティブは、情報の確度や自分の立場に応じて、不確かさ(uncertainty)を言葉でコントロールします。
これにより、誤解を避けたり、議論の余地を残したり、相手への配慮を示したりしています。

この記事では、ネイティブが日常会話やビジネスでよく使う「不確かさを表す英語フレーズ」を、
確信が低い/可能性を示す/情報源を限定する/判断を保留する/曖昧にぼかす
という切り口で整理して解説します。
断定を避けたい場面で使える表現を身につけていきましょう。

2. 確信がないことを率直に伝えるフレーズ

I’m not sure.

「よくわかりません」「確信がありません」という最も基本的な表現です。

I’m not sure about the details.
(詳しいことはよくわかりません)

無理に答えを出さず、正直さを示す表現です。

I’m not certain.

not sure よりもややフォーマルで、落ち着いた印象です。

I’m not certain this is the right approach.
(これが正しいやり方かどうかは確信がありません)

ビジネスや議論の場で使われます。

I don’t know for sure.

「確かなことはわかりません」という意味です。

I don’t know for sure when it will be finished.
(いつ終わるかは確かではありません)

一部は知っているが、確定ではないニュアンスがあります。

I can’t say for sure.

断定できないことを丁寧に伝えます。

I can’t say for sure if it will work.
(うまくいくかどうかは断言できません)

責任ある立場での発言によく使われます。

3. 可能性を示す不確かさのフレーズ

It might ~

「〜かもしれません」という、最も一般的な可能性表現です。

It might take longer than expected.
(予想より時間がかかるかもしれません)

可能性がある程度ある場合に使われます。

It could ~

might よりもやや前向き・現実的な可能性を示します。

It could be a good solution.
(良い解決策になる可能性があります)

提案や仮説でよく使われます。

There’s a chance that ~

「〜の可能性があります」という言い方です。

There’s a chance that the plan will change.
(計画が変わる可能性があります)

客観的な響きがあります。

It’s possible that ~

「〜という可能性はあります」というややフォーマルな表現です。

It’s possible that we misunderstood the instructions.
(指示を誤解していた可能性があります)

書き言葉・ビジネスでよく使われます。

4. 情報源を限定して不確かさを示すフレーズ

As far as I know, ~

「私の知る限りでは」という限定表現です。

As far as I know, the schedule hasn’t changed.
(私の知る限り、予定は変わっていません)

情報の範囲を明確にします。

From what I’ve heard, ~

伝聞情報であることを示します。

From what I’ve heard, he’s already left.
(聞いた話では、彼はもう出発したそうです)

責任の所在を曖昧にできます。

Apparently, ~

「どうやら〜らしい」という意味です。

Apparently, the meeting was canceled.
(どうやら会議は中止になったようです)

確定情報ではないことを示します。

It seems (that) ~

状況からの推測を表します。

It seems that there was a misunderstanding.
(誤解があったようです)

断定を避けたいときに便利です。

5. 判断を保留する不確かさのフレーズ

I’m not ready to say.

「まだ判断できません」という意味です。

I’m not ready to say which option is better.
(どの選択肢が良いか、まだ判断できません)

慎重な姿勢を示します。

It’s too early to tell.

「判断するにはまだ早いです」という表現です。

It’s too early to tell how this will turn out.
(どうなるか判断するにはまだ早いです)

将来の結果についてよく使われます。

I need more information.

判断材料が不足していることを示します。

I need more information before deciding.
(決める前に、もう少し情報が必要です)

即答を避けたいときに使えます。

Let’s wait and see.

「様子を見ましょう」という意味です。

Let’s wait and see how things go.
(どうなるか様子を見ましょう)

結論を先送りにする表現です。

6. あえて曖昧にぼかすフレーズ

Maybe.

「たぶん」「場合によっては」という非常に軽い不確かさです。

Maybe we should try a different approach.
(別のやり方を試したほうがいいかもしれません)

カジュアルですが、曖昧さが強い点に注意します。

Possibly.

maybe よりもやや改まった言い方です。

Possibly, but I’m not convinced.
(可能性はありますが、まだ納得していません)

議論で使われます。

Kind of / Sort of

はっきり言い切らないための口語表現です。

I kind of agree with you.
(どちらかというと賛成です)

フォーマルな場では避けます。

More or less.

「だいたい」「おおむね」という意味です。

The plan is more or less ready.
(計画はだいたいできています)

完全ではないことを示します。

7. 不確かさ表現で注意したいポイント

不確かさを表す際は、次の点に注意しましょう。

  • 曖昧にしすぎて結論が伝わらない
  • 責任回避と受け取られないよう補足する
  • 場面に合わないカジュアル表現を使わない

特にビジネスでは、不確かさ+次のアクションを示すと印象が良くなります。

8. まとめ

英語で不確かさを表すことは、弱さではなく正確さと配慮です。
ネイティブは、情報の確度に応じて断定を避ける表現を自然に使っています。

まずは I’m not sure / It might / As far as I know / It’s too early to tell など、
使用頻度が高く、使い分けしやすい表現から身につけていきましょう。

不確かさを適切に伝えられるようになると、英語での発言はより信頼され、誤解も減ります。
断定しない勇気を持ち、場面に合った言い回しを選べるようにしていきましょう。